TADOKUbase

名作を洋書(原書)で読む難易度 - 星の王子さま・アルジャーノン・ホームズ・赤毛のアンなど9作品の語数と英検の目安

「アルジャーノンに花束を、英語で読んでみたいけど英検2級で足りる?」「星の王子さまは短いから初心者向け?」。名作を原書で読もうとすると、まず気になるのがこの点です。

ところが、本の難しさには「長さ(語数)」と「1文の難しさ」という別々の物差しがあります。たとえば『不思議の国のアリス』は約2.6万語と短いのに、文の難しさは9作品で一番上。『プロジェクト・ヘイル・メアリー』は文がやさしいのに、長さは約15万語あります。このページでは、名作9作品の原書を2つの物差しで比べました。

9作品を「長さ」と「文の難しさ」で並べた図

横軸が語数、縦軸がATOS(1文の長さや単語の難しさから出す、アメリカの学年で表した指標。5.0なら小学5年生程度)です。比べやすいように、Holes・Wonder・ハリー・ポッター1巻の位置も白丸で入れています。

↑ 文の難しさ(ATOS)

4.0
5.0
6.0
7.0
8.0
B1
B2
123456789
04万8万12万16万語

長さ(語数)→

  1. 1チャーリーとチョコレート工場3.1万語・4.8
  2. 2星の王子さま1.7万語・5.0
  3. 3そして誰もいなくなった5.3万語・5.7
  4. 4シャーロック・ホームズの冒険10.4万語・7.0
  5. 5アルジャーノンに花束を8.3万語・5.8
  6. 6オリエント急行の殺人5.8万語・6.2
  7. 7不思議の国のアリス2.6万語・7.4
  8. 8赤毛のアン9.7万語・7.3
  9. 9プロジェクト・ヘイル・メアリー15.0万語・4.7
  10. 比較: Holes・Wonder・ハリポタ1巻
右へ行くほど長く、上へ行くほど1文が難しい。点線の枠は、当サイト収録の原書のうちB1・B2の本が集まる範囲です。枠より上にある作品は、語数のわりに文が難しい本です(語数・ATOSはAR BookFinder、2026年10月1日取得)。

枠より上にある作品が多いのが分かります。名作の原書は、同じ長さの児童書より文が難しいことが多く、語数だけを見て選ぶと「思ったより読めない」になりがちです。

英検・TOEICの目安の決め方

目安は勘で付けず、当サイトに収録している原書のうち、語数とATOSが分かる本をレベルごとに集計して決めました。

レベル文の難しさ(ATOS)長さ
B1英検2級・TOEIC 550〜7803.4〜4.9中央値 約1.7万語(最長4.2万語)
B2英検準1級・TOEIC 780〜9004.6〜5.74万〜9万語

B1の原書は収録183冊で幅が広く、B2は9冊とまだ少ないので、B2の範囲は目安として見てください。この範囲より文が難しい作品(アリス・赤毛のアン・ホームズ・オリエント急行)は、長さが範囲内でも1段階上のつもりで考えるのが安全です。レベルの物差しそのものはLexile・CEFR・英検・TOEICの対応表で詳しく説明しています。

1短くて、文もやさしい2冊から

英検2級前後なら、まずはここから。1分150語で読むと、どちらも2〜3時間半で読み終わります。

  • Charlie and the Chocolate Factory の書影

    1チャーリーとチョコレート工場

    Charlie and the Chocolate Factory / Roald Dahl(1964年)

    語数
    30,644
    ATOS
    4.8
    目安
    英検2級〜

    文の難しさは9作品で2番目にやさしく、話のテンポも速いので、名作の原書の1冊目に向いています。ダールの造語(お菓子の名前など)は意味が分からなくても話は追えます。

    1分150語で読むと約3時間24分。CEFRの目安はB1です。

  • The Little Prince の書影

    2星の王子さま

    The Little Prince / Antoine de Saint-Exupéry(1943年)

    語数
    16,534
    ATOS
    5.0
    目安
    英検2級〜

    9作品でいちばん短く、1文も短めです。ただ話が抽象的で、「何を言いたいのか」を考えながら読む本なので、語数のわりに手ごわく感じる人もいます。もとはフランス語で、英訳は訳者によって語数が少し変わります。

    1分150語で読むと約1時間50分。CEFRの目安はB1〜B2です。

2B2の入口になる3冊

長さも文もB2の範囲に収まる本と、1話ずつ区切って読める短編集。

  • And Then There Were None の書影

    3そして誰もいなくなった

    And Then There Were None / Agatha Christie(1939年)

    語数
    52,656
    ATOS
    5.7
    目安
    英検準1級〜

    長さも文の難しさも、ちょうどB2の範囲に入ります。登場人物が10人いるので、最初に名前をメモしておくと迷いません。先が気になって読み進められるので、B2の1冊目に向いています。

    1分150語で読むと約5時間51分。CEFRの目安はB2です。

  • The Adventures of Sherlock Holmes の書影

    4シャーロック・ホームズの冒険

    The Adventures of Sherlock Holmes / Arthur Conan Doyle(1892年)

    語数
    104,477
    ATOS
    7.0
    目安
    英検準1級〜1級

    全体では10万語を超えますが、12の短編集なので1話は7,000〜10,000語。1話ずつなら短めの児童書と同じ長さです。19世紀の言い回しが多く、文はB2の上限を超えます。

    1分150語で読むと約11時間37分。CEFRの目安はB2〜C1です。

  • Flowers for Algernon の書影

    5アルジャーノンに花束を

    Flowers for Algernon / Daniel Keyes(1966年)

    語数
    82,873
    ATOS
    5.8
    目安
    英検準1級〜

    主人公チャーリイの「経過報告」で進む小説です。最初の報告はつづりや文法の誤りだらけで、英語学習者にはかえって読みにくい部分。知能が上がるにつれて文章が難しくなり、後半は大人向けの語彙が続きます。

    1分150語で読むと約9時間12分。CEFRの目安はB2です。

3長い・文が難しい4冊

どれかが極端な本。やさしい版や日本語訳で話を知ってから読むのも手です。

  • Murder on the Orient Express の書影

    6オリエント急行の殺人

    Murder on the Orient Express / Agatha Christie(1934年)

    語数
    58,154
    ATOS
    6.2
    目安
    英検準1級〜

    長さはB2の範囲ですが、文はB2の上限を少し超えます。乗客への聞き取りが続く構成で、探偵ポワロの会話にはフランス語の表現が混ざります。

    1分150語で読むと約6時間28分。CEFRの目安はB2です。

  • Alice's Adventures in Wonderland の書影

    7不思議の国のアリス

    Alice's Adventures in Wonderland / Lewis Carroll(1865年)

    語数
    26,435
    ATOS
    7.4
    目安
    英検準1級〜

    短いのに、文の難しさは9作品でいちばん上。19世紀の言い回しに加えて、だじゃれや言葉遊び、詩のパロディが多く、日本語訳で知っている話でも英語だと引っかかります。1章あたり2,000語前後なので、1日1章ずつ読めます。

    1分150語で読むと約2時間56分。CEFRの目安はB2〜です。

  • Anne of Green Gables の書影

    8赤毛のアン

    Anne of Green Gables / L. M. Montgomery(1908年)

    語数
    97,364
    ATOS
    7.3
    目安
    英検準1級〜1級

    アンの長いおしゃべりと、自然の描写がたっぷり続きます。約10万語と長いうえに文も難しく、9作品の中では上級者向けです。まずやさしい版で話の流れをつかんでから原書に戻る読み方もあります。

    1分150語で読むと約10時間49分。CEFRの目安はB2〜C1です。

  • Project Hail Mary の書影

    9プロジェクト・ヘイル・メアリー

    Project Hail Mary / Andy Weir(2021年)

    語数
    150,326
    ATOS
    4.7
    目安
    英検準1級〜

    文の難しさはB1の範囲で、9作品の中でいちばんやさしい一方、長さは約15万語と飛び抜けています。一人称の語りは読みやすいものの、物理や生物の用語が多く出てきます。ハリー・ポッター1巻の約2倍の分量です。

    1分150語で読むと約16時間42分。CEFRの目安はB2です。

原書で挫折しないための3つのコツ

英検2級に届いていない場合は、名作の原書より先に洋書初心者におすすめの英語の本15選から始めるのがおすすめです。定番の児童書の原書についてはハリー・ポッターの難易度やロアルド・ダール作品ガイドにまとめています。

※ 語数とATOSは2026年10月1日にAR BookFinder(Renaissance Learning)で確認した値です。同じ作品でも版や英訳によって語数は多少変わります。英検・TOEICの目安は当サイトの集計による参考値です。

同じテーマの記事: 作品・シリーズ別ガイド

ハリーポッター原書の難易度と語数 - 何巻で100万語?全7巻データ

ハリーポッターを原書(英語)で読むのに必要なレベルは?全7巻の語数・累計語数・難易度データと、挫折しないための読み方を解説。7巻完読で約108万語です。Audible英語版の全7巻の再生時間と読み上げ速度も掲載しています。

パーシー・ジャクソン原書の難易度と語数 - 全5巻データ、後半で難化に注意

ギリシャ神話×現代アメリカの冒険『パーシー・ジャクソン』原書の難易度は?全5巻の語数データと、4巻からCEFR C1へ難化する理由を解説します。

Wonder(ワンダー 君は太陽)のLexile指数は790L - 原書とやさしい版の難易度比較

原書WonderのLexile指数は790L、総語数73,053語、CEFR B2相当。やさしく書き直されたPenguin Readers版(10,500語・CEFR A2)との違いと、どちらから読むべきかをデータで解説します。

ロアルド・ダール作品ガイド - 多読におすすめの15冊を語数順に

マチルダ・チョコレート工場の秘密など、ロアルド・ダール作品15冊の語数・難易度データ一覧。映画化作品も多く、多読の定番として人気です。

人気シリーズを完読すると何語?英語多読シリーズ別の総語数まとめ

Harry Potter全7巻で約108万語、Diary of a Wimpy Kidで約34万語 — 英語多読の人気シリーズの総語数をデータで集計。100万語達成の計画づくりに使えます。

多読ガイドをすべて見る(33本) →